音楽大学などでソルフェージュ教育に携わってきた私の経験から、学生が何のためにソルフェージュを学ばなければならないのか、彼らの専攻実技とどのようにかかわりあっていくのか、また音楽家がソルフェージュに対して正しい認識を持つようになるにはどうしたらよいのだろうか、という疑問をはっきりさせなければならないと常々感じていました。

　そのために試行錯誤を繰り返してきた私がフランスで出会った本は、このサイトで紹介している「シューベルトを歌いながら学ぼう」（ミシェル-オディル・ジロー著）でした。「『ワインの新種』を飲むシューベルト」が描かれた鮮やかな黄色の表紙のフォルマシオン・ミュジカルの教本の日本語版を出版したのは1988年でした。親しみやすい曲をとりあげ、その芸術に多様な方法でアプローチしたこの本との出会いがきっかけとなり、これまでに多数の日本語版を出版しました。今後も追加してゆく予定です。

　ソルフェージュの学習の対象として楽曲を置くことは、音楽性や独創性を高めるために不可欠であり、日本のソルフェージュ教育にも欠けていた面です。

　このサイトでは、フランスの新しいソルフェージュ、《フォルマシオン・ミュジカル》についての教本とともに、私の他の著書・訳書も紹介しています。

舟橋三十子